観測ログ #29|「3=0」につまずいて見えた方程式の落とし穴

日々のこと

8月29日(まえがき)
数式を前にしたとき、ふと「とんでもない発見をしてしまったのでは」と思う瞬間がある。今日は二次方程式と三次方程式の間をさまよって、「3=0」というあり得ない等式に行き着いた。間違いだとわかっていながらも、そこに至る過程や錯覚が妙に記憶に残る。そんな“迷子の記録”を残しておきたい。

先にこんな証明が成立するのでは…?

スタートは二次方程式

x^2 + x + 1 = 0

これを少しいじると、こんな“証明らしきもの”ができてしまう。

x^2 + x + 1 = 0
→ x + 1 + 1/x = 0 (両辺を x で割った形にする)
→ x + 1 = -x^2
→ 1/x = x^2
→ x^3 = 1

つまり解は x=1 である……はずだ、と。

ところが元の式に戻して代入してみると、

1^2 + 1 + 1 = 3

右辺は0だから「3=0」。
この時点で強烈な違和感。「矛盾を発見したのか?」「新しい数学の扉を開いたのか?」そんな気分になる。

因数分解が明かす真相

落ち着いて恒等式を思い出す。

x^3 – 1 = (x – 1)(x^2 + x + 1)

この式が教えてくれるのは、二次方程式と三次方程式の関係。

  • x^2 + x + 1 = 0 が成り立つなら必ず x^3 = 1 も成り立つ。
  • ただし逆は違う。x^3 = 1 の解は x=1 か、もしくは二次方程式の解。

つまり「解集合が広がってしまった」のが落とし穴。

本当の解は複素数にあった

二次方程式を解の公式で処理すると、

x = (-1 ± √(1 – 4)) / 2 = -1/2 ± (√3/2)i

という2つの解が得られる。実数解は存在せず、どちらも複素数。三乗すると確かに1になる。

つまり三次方程式 x^3 = 1 の解は3つ(1と複素数2つ)。そのうち二次方程式が拾っているのは複素数の2つだけ。x=1 は余分に混ざった候補で、代入して弾かれる。

「3=0」が語るもの

最初の“証明”で矛盾が出たのは、新しい真理を見つけたからではなく、解集合が広がったのに確認を怠ったから。
候補を狭めるステップを飛ばした結果、「3=0」という荒唐無稽な等式が姿を見せただけだった。

数式の迷路に迷い込む感覚

この一件で強く感じたのは、矛盾にぶつかる瞬間の鮮烈さ。代入して「3=0」が現れたとき、心臓がドキッとした。間違いだとわかっていても、頭の奥で「本当に世界が崩れるかも」と思ってしまう。

実際には矛盾そのものが、思考の中でどこを飛ばしたかを教えてくれるサインだった。数式の迷路に迷い込み、そこで行き止まりを発見し、振り返る。そのプロセス自体が、自分には、強烈なバックアップになる。

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