9月4日(まえがき)
「マザーシップ(母艦)」という言葉に惹かれる。
語感の中に母性と巨大さ、そしてそこから小型艇が出入りするイメージが同居している。
1歳3か月の娘のために、必要な道具を一つにまとめた箱を作ろうと思ったとき、この呼び名がしっくりきた。
子育ての日々は細かい物の出し入れが途切れなく発生する。
おむつ替え、食事、遊び、衛生ケア、そして突然のトラブル。
小さな行動が積み重なり、ひとつの生活サイクルを形づくる。
その流れを支える装備をまとめるなら、やはり母艦という言葉がふさわしい。
箱のサイズ感とポケット
採用した箱はたて40cm×よこ10cm×高さ15cm程度。
数字だけ見ると小さめだが、実際に物を入れてみると意外と収容力がある。
しかも外側に6つのポケットがついていて、アクセスのしやすさが格段に高い。
内部は積載庫、外ポケットは即応用のハッチ。
開け閉めの動線をイメージすると、軍艦のデッキ構造をなぞっているようでちょっと楽しい。
こうした遊び心が、日常のルーチンに小さな推進力を与えてくれる。
優先度を設けた装備リスト
必要なものを無秩序に詰め込むと、いざというとき探すのに時間がかかる。
そこで「必須>よく使う>あまり使わないけど小さい>あまり使わない上に大きい」という優先度をつけて整理した。
結果として、母艦としての役割が一層はっきりした。
優先度:必須
- おむつ 5~6枚
- おしりふき(携帯用小パック)
- ビニール袋(防臭袋を折り畳んで)
- ウェットティッシュ(アルコール系)
- ガーゼ or ハンカチ
- スタイ(布 ・ 紙エプロン)
- おやつ(小袋入りボーロやせんべい)
- スプーン/フォーク
- ミニ救急セット(ばんそうこう・消毒綿)
優先度:よく使う
- 歯ブラシ
- 爪切り・やすり(ベビー用はさみ型)
- 綿棒(ベビー用細軸)
- 保湿クリーム/ワセリン(小容器)
- 着替え一式(肌着・トップス・ズボン・靴下)
- 小さなおもちゃ(ラトルや布絵本)
- タオル(フェイスタオル1枚)
優先度:あまり使わないけど小さい
- ヘアブラシ(ベビー用ソフトタイプ)
- 体温計(小型デジタル)
- ビニール手袋(1組)
- 鼻吸い器(小型タイプ)
- 絆創膏各サイズ
- 消毒ジェル
優先度:あまり使わない+大きい
- ブランケット(薄手を圧縮袋に)
- 母子手帳・保険証・診察券ポーチ
ポケット運用の妙
外ポケット6つは小型艇の発着口。
ここに「最も頻繁に使うもの」を割り当てると、母艦の効率が一気に上がる。
この数秒の短縮が、子どもを抱えて右往左往している場面では大きい差になる。
母艦があるということ
実際に入れてみると、ただの箱ではなく「生活の拠点」が目の前に現れた感覚がある。
娘のための道具を集めた箱は、ひとつの小さな宇宙船のようだ。
日常の軌道を回りながら、ときどき遠征に出る。
自分自身にとっては、記憶のバックアップでもある。
「あの頃、娘はこんなものが必要だった」という記録を形に残すことができた。
きっと数年後に見返すと、この装備リストは懐かしくも愛おしい航海日誌になる。
コメント